【和歌山】”広くて深い”日高川で自分だけのベストプレイスを見つけよう

もくじ

このまちを紹介する人

こんにちは。和歌山県日高川町で地域おこし協力隊をやっております、吉田彩乃と申します。2015年8月に着任し、現在任期3年目です。

現在は移住推進や空き家の活用、都市農村交流(都会の子どもたちの自然体験や民泊)の受け入れ事務といった活動をしています。任期2年目にはプライベートで狩猟免許を取得し、現在新米猟師として修業中。始めの頃は夜道で鹿が飛び出してくるたびに軽くテンパっていたのが、今では「お、こんな所にも獣道が…」と冷静に分析するくらいには山での暮らしにも慣れてきました。

出身地は東京の立川市。協力隊になる前は、都内の大学を卒業後、大阪で少し働いてからワーホリでアイルランドに行っていました。旅が大好きで、協力隊になった今でも国内旅行はもちろん、年に一度は近隣のアジア諸国に弾丸ツアーに出かけたりしています。

そんな私が根を下ろした日高川町というまちについて、これからご紹介していきたいと思います!

アイルランドで羊飼いをしていた頃の吉田

 

日高川町を選んで移住したきっかけを教えてください

もともと私は、日高川町どころか和歌山県にも、縁もゆかりもありませんでした。田舎暮らしに特別憧れていたわけでもありません。幼稚園から大学卒業までの約20年間、東京都立川市というまちで、ごく平凡に育ってきました。そこから今に至るまでには、いくつかのきっかけがあったので、ここで順にお話ししてみたいと思います。その最初の事件は、就職氷河期を乗り越えなんとか就職も決まり、大学卒業を間近に控えた3月に起こりました。

コンビニで食べ物が買えない。

私が大学を卒業したのは、2011年3月。東日本大震災が発生した直後です。震災の影響で卒業式が中止になるなど様々な影響を受けましたが、中でも衝撃的だったのがコンビニで食べ物が買えないという現象でした。地震の直後は首都圏も大混乱で、食料の買い占めが問題になったのを覚えている方も多いと思います。東京という日本の中心地にあって、食べ物が手に入らない。そんなとき、私にできるのは、お店が食べ物を入荷するのを待つことだけだったのです。自分がいかに大きな何かに依存していたか、そして、都会がいかに脆いものであるかということを、身をもって実感した出来事でした。

JR尼崎駅前での「世界一便利」な暮らし

大学を卒業後、大阪の企業に就職し、社宅として入居したのはJR尼崎駅前の1Kアパートでした。私は今でも、ここが世界一便利な住まいだと信じています。というのも、駅まで徒歩1分、JR大阪駅まで新快速で1駅(5分)、神戸の繁華街・三ノ宮にも20分で行けて、さらに家のすぐ前から関空行きのリムジンバスが発着。徒歩圏内にもショッピングモール、総合病院、ファストフードに居酒屋、スポーツクラブ・・・。極め付けはアパートの1階がローソンという無敵装備。忙しい仕事の合間でも用事をサッと済ませられるし、帰りが遅い日はコンビニや王将でごはんを買って帰れる。始めの頃は「超便利!J尼サイコー!」と浮かれていました。なんか尼崎のPRみたいになってきました(笑)

ところが、仕事のほうが忙しくキャパオーバー気味になり、時間的・精神的余裕がなくなってくると、捉え方が徐々に変わってきました。「仕事で疲弊して帰宅して、コンビニのごはん食べて最速で寝て、私は一体何をやってるんだ」「この便利さがくれた時間は一体どこへ…?」「こんなに至れり尽くせりのまちに住んでるのに、友達はいない」と、どんどんネガティブになり、便利なまちで暮らしていることが逆に虚しくなってきたのです。

「必死でお金を稼いでも、それを自分のために使う時間がなければ意味がない」「コンビニのごはんで時間を節約するより、時間をかけてちゃんとした食事がしたい」…そんな気持ちから、だんだん意識が外の世界へ向き始め、何かもっと良い生き方があるんじゃないかと考えるようになりました。

アイルランドで羊飼いになる

サラリーマンの肉体からすっかり幽体離脱してしまった私は、とうとう会社を辞めてワーホリに行くという典型的なドロップアウトコースへと踏み出してしまいました。行き先は、学生時代の研究テーマだったアイルランド。幸い、使うあてのなかったお金がそれなりに貯まっていたので、ワーホリ生の王道であるアルバイトはせず、WWOOFという過ごし方を選びました。WWOOFとは簡単にいうと、農家に住み込みで仕事を手伝う代わりに、三度の食事と寝床を与えてもらうという金銭抜きのエクスチェンジです。私はこれを利用して、アイルランドとイギリスで計8か所の農家などを巡りました。最寄りの町まで徒歩2時間という陸の孤島で自給自足コミュニティに加わったり、クリスマスに七面鳥を潰してオーブンで焼いたり、人口50人の離島で羊を追ったり。およそJR尼崎駅前での生活とは真逆の、サバイバルな暮らしを体験しました。

滞在先はどこもド田舎で、私は車もなかったので、遊びに行くにもお店に行くにも徒歩や自転車で1時間以上。便利な環境からはほぼ隔離された生活でしたが、不便さはほとんど感じませんでした。個性豊かな仲間がたくさんいて退屈しないし、生きるのに必要なものは近くにあって、それを得るために毎日働く。働くことが生きることに直結していて、地に足がついたような、安心感がありました。

「これはもう、東京や大阪には戻れないな…」「日本に帰ったら、田舎で新天地を探そう!」そう思ったときに思い出したのが、日本を出る直前にたまたま知った「地域おこし協力隊」という制度でした。

「移住」というテーマを掘り下げたい

「地域おこし協力隊」といっても、活動テーマは様々です。私はこれまで述べたような経緯もあり、「都会での暮らしから、田舎暮らしへ」という体験を、もっとたくさんの人と共有したいと思いました。東京や大阪にはありえないくらいたくさんの人が住んでいて、その中にはおそらく私と同じように、都会暮らしがしっくりこない人もいるはず。それに、都会に限らず、生まれた場所・あるいは今住んでいる場所よりも、もっと自分らしく暮らせる場所があるなら、もっと気軽に移住できてもいいのではないか。もっと人は動いた方がいいんではないか。そんな思いもあって、「移住」というテーマの活動ができるところはないかと探した結果、出会ったのが日高川町でした。

実はそのころ、両親はすでに大阪に引っ越していて、「何かあったらすぐに行き来できる」というのも決め手の一つでした。何はともあれ、こんな紆余曲折を経て、ついに日高川町という新天地にやって来ることになったのでした。

日高川町ってどんなまちか教えてください

「日高川」に沿って広がる細長いまち

日高川町は、和歌山県のほぼ中央部に位置する東西に長い形をしたまちです。なぜこんな細長い形なのかというと、平成17年の町村合併の際、町の名前にもなっている「日高川」に沿って並ぶ3つの町村(川辺町・中津村・美山村)が一つになったから。最も下流側が川辺地区(旧川辺町)で、真ん中が中津地区(旧中津村)、最も上流側が美山地区(旧美山村)です。「日高川」という串に刺さっただんご三兄弟みたいな感じですね。この三兄弟はもともと別の町村だったこともあり、それぞれ特色があります。一口に「日高川町で暮らす」といっても、場所によってライフスタイルは全く異なるのです。

川辺地区

日高川の下流域に位置する川辺地区は、紀中の中核都市である御坊市に隣接しており、町内で最も人口の多いエリアです。特急が停車する御坊駅や阪和自動車道の川辺IC、御坊ICなども近く、外部へのアクセスも良好。町内唯一のコンビニやAコープ(スーパー)があるのも川辺地区。平らな土地が多いので、野菜・みかんなどをつくる比較的大規模な農家が多いのが特徴です。

中津地区

真ん中にあるのが中津地区。御坊市までは車で15~30分くらいで、慣れれば買い物や通勤には全然不便を感じない範囲です(支流の奥まった集落などは別ですが…)。川辺地区に比べると土地が少ないので、農家は兼業農家がほとんど。「道の駅SanPin中津」は、そういった小規模な農家や家庭菜園などで作られた野菜が多く並んでおり、どれも安くて新鮮です。また、合併前の旧中津村の頃から移住推進に力を入れていたこともあり、先輩移住者が多いのも中津地区の特徴です。

美山地区

最も上流(内陸部)に位置する美山地区は、御坊や川辺の人からは「超山奥」と恐れられる山村エリア。御坊市まで車で30分~1時間くらいの距離です。四方に山が迫り、農地は段々畑や棚田がほとんど。昔から林業が盛んで、原木しいたけやお正月に飾る千両も特産品です。不便だと思われがちな美山地区ですが、実はここから有田方面へ抜ける国道が通っているので、有田ICや藤並駅を利用すれば大阪方面にも意外と簡単に出られます。ちなみに私が住んでいるのはこの美山地区で、普段は川辺地区の役場に通勤しています。

日高川町の「日本一」

紀州備長炭生産量日本一!

日高川町が生産量日本一を誇る特産品・紀州備長炭。現在も多くの生産者が山麓に工房を構え、伝統的な製法で炭を焼いています。紀州備長炭が使われるのは東京の高級料亭や焼き鳥屋さんなど限られた業界なので、普通の人はあまり馴染みがないかもしれませんが、最近は炭焼き職人を目指す移住者も出てきており、密かに活気のある産業です。

日本一長い二級河川・日高川!

じつは日高川は、日本一長い二級河川なのです。二級河川というのは都道府県が所管する河川のことで、要するに一つの県内で完結している河川。和歌山県は広いし、日高川は山あいを蛇行して流れているのですごく長いんですね。どれくらいすごいのかいまいち分かりませんが、役場の人々はなんかやたらアピールします。「ところでそれ、一級河川も含めたら何番目に長いの?」という疑問に答えてくれた人は今のところいません(笑)

日本一”楽しい”ヤッホーポイント!

日高川町民が愛して止まない(?)観光名所、ヤッホーポイント。県下最大の貯水量を有する「椿山ダム」を挟んで対岸の山に向かって叫ぶと、びっくりするほどきれいな山彦が帰ってくるというスポットです。この山彦は本当にすごいのでぜひ体感してほしいのですが、日本一の根拠はあくまで主観です。楽しいかどうかは自分次第ですからね。

 

 

あなたにとって、日高川町の魅力ってなんですか?

和歌山市・大阪・関空に近い!

憧れの田舎暮らしとはいえ、たまには都会にも遊びに行きたい…そんな人(私)にちょうどいい日高川町の立地。日高川町の玄関口である川辺ICから大阪市内へは約1時間半。十分日帰りで遊びに行ける範囲です。仕事がらイベントや研修などで大阪へ行く機会も多いので、やはり「遠すぎない」というのは大事。正直、紀南地域から半日がかりで大阪へ出張している方々を見ると「近くて良かった…」と思います(紀南の人ごめんなさい)。

また、大阪よりも気軽に行けるのが、車で約1時間の和歌山市。和歌山だからってバカにしてる人もいるかもしれませんが(笑)、和歌山市はおしゃれなショップやカフェなども多く、それでいて昔ながらの佇まいも残る密かに魅力的なまちです。映画や美術館など文化的な活動がしたいときや、しまむらやワークマン以外で服が買いたいときなどは、いつも和歌山市へ出かけます。

さらにもう一つ付け加えたいのが、関西国際空港へのアクセス。車なら1時間半弱、電車でも1時間半~2時間程で行けます。私は海外旅行が好きなので、このアクセスはけっこう重要です。仕事終わりに空港へかけ込んで夜の便で出発!みたいなことができるので、連休をフルに使えます。空港までが遠いと、移動時間で丸一日無駄になってしまったりしますからね…。

地元の人がめっちゃ優しい

じつは日高川町は10年以上前から移住推進に積極的に取り組んでおり、移住者がとても多いまちです。そのせいか、地元の皆さんも外からの移住者に対して理解があり、優しいです。田舎には集落での行事や地区・班といった集団活動がつきものですが、移住者がわからないようなことも都度都度ちゃんと教えてくれますし、寄合や祭の準備などに顔を出すと喜んで迎え入れてくれます。積極的に「輪に入れよう」としてくれている雰囲気があって、とても溶け込みやすいです。

とにかく奥が深い(物理的に)

よく「田舎暮らしなんてすぐ飽きるよ」なんて言われますが、日高川町にはマニアックな魅力がたくさん眠っていて飽きることがありません。記事のメインタイトルにもしている「広くて深い」というのが、私にとっての日高川町の魅力です。万人が共感することかはわかりせんが、ちょっと語らせてください。

日高川町のメインストリートは、日高川沿いを走る県道26号線・国道424号線。主要な施設や観光地もこの道沿いに集中しており、ドライブやツーリングのコースとしても人気です。観光で日高川町を訪れたのであれば、この道沿いでほぼ事足りるでしょう。

しかし、それはいわば「表の顔」。その裏側には、まさに底なしのディープな世界が広がっています。先ほどの「表の顔」であるメインストリートには、いくつもの支流が葉脈のように流れ込んでいて、その支流沿いにも、奥へ奥へと道が続いています。入っていくのも勇気が要るような山道をぐんぐん進んでいくと、びっくりするような奥深くに人が住んでいたり、不老長寿の名水があったり、山を越えたら意外な場所につながっていたり…。

「峠(村界)まで」の表記がじわじわくる

不老長寿の水。遠方からも水を汲みに来る人が多い

Google mapでは見えない山の中にもたくさんの道が毛細血管のように巡っていて、その一つ一つにたくさんのエピソードが詰まっています。「今はバス通学になったけど、昔はこの峠を徒歩で越えて中学校に通っていた」とか、「昔はあの山を越えて隣村の祭りへナンパしに行った」とか。山の稜線にも古い道があり、お地蔵さんには今だにしっかりお供え物がされていたりもします。冬場の狩猟で山に分け入ると、古い道や石垣、古代遺跡のような炭焼き釜跡を見つけることもしばしば。掘り下げれば掘り下げるほど、歴史や昔の人の生活、地形の成り立ちなど、ありとあらゆる物語が湧き出してくるのです。ブラタモリが好きな人とかなら、きっとこの興奮を理解してくれる…はず!

奥深くへ分け入れば、素敵な何かに出会えるかも!

日高川町で暮らしてみてわかったマイナスポイントを教えてください

思ったより寒い

和歌山というと、暖かいというイメージがある方も多いと思います。しかし、はっきり言って実際に暖かいのは海沿いの地域だけ。内陸の山間部は普通に寒いです。ご覧のとおり雪も降ります(年に数回ですが)。私が住んでいるのは一番奥の美山地区なのですが、御坊や川辺と比べると気温が2~3℃低いことが多いです。また、このあたりの家はほとんどがプロパンガスなので、冬のガス代もけっこう嵩みます。もちろん東北や信州などの豪雪地帯に比べれば全然なのですが(私が見た最低気温で‐5℃)、「温暖な気候」を求めて移住されるなら注意が必要です。

さらに厄介なのは道路の凍結。山間部は日当たりが悪いので、出勤時間になっても道が凍っているということはよくあります。美山地区ではどこへ行くにも峠を越える必要があるので、スタッドレスタイヤを装着する人が多いです。毎年のことながら、地元民でさえ山道でスリップする人は後を絶ちません。

車にかかるコスト

端から端まで車で1時間かかる日高川町ですが、道路はきれいに整備されているので、慣れてしまえば長距離の移動は苦になりません。御坊や有田・和歌山市方面へ出かけることもあれば、反対に龍神温泉や高野山・熊野方面などにも気軽に行けます。しかし、行動範囲が広がればそれだけガソリン代は嵩んできますし、オイル交換の時期もすぐやってくるし、前述のとおり場所によってはスタッドレスタイヤが要るしで、車にまつわる出費は常についてまわります

そう考えると、通勤定期って素晴らしかったなあ…なんて思ったり。郊外に住んでいても都心まで定額で何回でも行けるし、車検や税金みたいなまとまった出費もないし。交通費に関してトータルで考えたら、私の場合は都会にいた頃のほうが安く済んでいました。

渋滞皆無の快適ドライブ。道もきれいで走りやすい!

 

日照時間が短い

四方を山に囲まれているので、当然ながら日照時間は短いです。朝はなかなか陽が当たらず、夕方はあっという間に太陽が山の向こうに沈んでしまいます。夏場はそれほど気になりませんが、冬はこれがかなりきつい。家が全然明るくならないし、なかなか暖まらないのです。これが冬場の光熱費を押し上げる一因でもあります。それと、日当たりが悪いと湿気もたまりやすいので、カビにも注意が必要です。

日高川町の先輩移住者はどんな仕事をしていますか?

じつは日高川町は、和歌山県内でもいち早く移住推進に取り組んできた先進地です。これまで実施されてきた様々な取り組みにより、現在も幅広い層の先輩移住者さんが暮らしています。ここでは、その中でも代表的なパターンをいくつかご紹介したいと思います。

①林業

日高川町の旧美山村森林組合(現在は合併して紀中森林組合)では、平成の初期から独自の基金や「緑の雇用制度」等を活用し、林業に従事するIターン者を積極的に受け入れてきました。これをきっかけに定住し、結婚・子育てをしながら林業を続けられている方がたくさんいます。また、中津地区では民間の林業会社も移住者の雇用に積極的で、若い女性なども現場で活躍されています。

②退職後の年金暮らし

老後は田舎で土いじりをしながら悠々自適に暮らしたい、という希望を持っている方は多いですよね。日高川町では以前、民間の建設会社がそういった層をターゲットに菜園付きの住宅を造成して大ヒット。多くのリタイア世代が日高川町に移住しました。現在は住宅の造成は行われていませんが、当時移住された方々は地域にすっかり馴染んで、野菜作りや趣味の手仕事などをしながら田舎暮らしを満喫されています。

③新規就農・自営業・複業

もともとはリタイア世代の移住先として人気の高かった日高川町ですが、最近は現役世代やお子さん連れでの移住も増えてきました。現役世代で多いのは、新規就農や、自身のスキルを活かした開業、パートや農業バイト・自営業などを組み合わせた「複業」など。日高川町のお隣・御坊市には県立の就農支援センターがあり、そこで研修を受けながら就農を目指す方もいます。また、日高川町の特産品である紀州備長炭の炭焼きを生業とする移住者も増えてきています。こういった方々に共通しているのは、「田舎には仕事がない」という定説をものともせず、自力で仕事を見つけたり、創り出したりしているということ。アクティブな方が多く、地域に新しい風を吹き込んでくれています。

日高川町の空き家事情

空き家バンク

日高川町では、県が運営する「わかやま空き家バンク」に空き家情報を掲載しています。特に日高川町は空き家の情報収集に力を入れているので、バンクへの掲載物件数は県内ナンバーワンです。ただし、掲載されている物件のほとんどは修繕が必要なので、ある程度の初期投資は覚悟しておく必要があります。すぐに入居できるような良い状態の物件はごく一部で、そういった物件はすぐに入居者が決まるので、条件に合う物件に出会えるかどうかはタイミング次第。これは空き家バンクの宿命ともいえるかもしれません。なお、県外からの移住者に対しては、空き家改修補助金など県からの様々な補助がありますのでぜひ活用してください。

また、立地条件としては内陸の山間部が多いです。御坊市に近い便利なエリアを希望される方は多いのですが、残念ながら市街地寄りの物件は滅多に出てきません。やはり過疎の進んでいる奥地に空き家は多くなっています。

空き家バンクに出ている物件の家賃相場はだいたい1万円~3万円ほどです。

町営住宅

もし「空き家」にこだわらず、安い家賃で田舎暮らしを考えているのであれば、町営住宅もおすすめです。町営住宅というと味気ない集合住宅をイメージされるかもしれませんが、日高川町の町営住宅は木造の一戸建て(※)。家族連れでも十分住める広さで、何より役場がきれいにして貸してくれるので安心です。家賃は世帯の所得に応じて変動するので、無理なく支払える金額になりますが、前年度の所得が多い場合などは初年度が大変なのでご注意ください。

町営住宅の一例。2階建ての住宅もあります

(※)厳密にはニコイチ住宅ですが、繋ぎ目が倉庫なのでほぼ一戸建てです

移住お試しルーム「てんこそら」

 

いきなり家を借りるのは勇気がいる…という方は、短期滞在から始めてみるのもおすすめです。日高川町では、移住の準備段階における様々な場面で格安で利用できる移住お試しルーム「てんこそら」を2017年夏に開設しました。「ルーム」という名の通り、家具備え付けのワンルームです。よくある「古民家暮らし体験」が目的ではなく、あくまで「拠点」として気軽に利用してもらうのが目的。一部屋3人まで滞在できます。

 

 

空き家探しの拠点に使ってもよし。空き家を改修する期間の仮住まいに使ってもよし。二拠点生活の予行演習として週末だけ通ってもよし。移住に向けて、それぞれの方法で有効に活用してください!

 

日高川町に来たらぜひ寄ってみてほしいお店や場所

カフェ

ハラペコキッチン

美山地区・椿山ダムのそばにあるハラペコキッチンは、移住者のご家族が経営するパン屋さん/カフェ。児童館だった建物を改装した店内は、木を基調とした温かい雰囲気で、どこを切り取ってもかわいくてオシャレ。近隣地域の様々なアーティストさんの作品やオリジナル雑貨なども販売しています。遠方からも絶えずファンが訪れる、知る人ぞ知る人気店です。

 

SAI Terrace/サイテラス

中津地区・佐井にオープンしたこちらのカフェも、移住者のご夫婦が経営。スイーツやランチ、ピザなどを販売しています。自由奔放な旦那さんとおしゃべり好きの奥さんが笑顔で迎えてくれる、親戚のおばちゃんの家みたいな超アットホームなお店です。奥さんは京都で洋菓子/料理教室もされているので、メニューは超本格的。ただ、各地を飛び回るアクティブなご夫婦なので、営業は不定期です。オープンする日はFacebookページで告知されているので、開いている日を狙ってぜひ行ってみてくださいね。

 

お店

「山の本屋」イハラ・ハートショップ

「超山奥」と言われる美山地区に、なんと本屋さんがあるのです!公営の図書館ではなく「本屋さん」があるって珍しいですよね。しかも小さなお店ながら、定期的に作家さんなどを招いてイベントを開催したり、各地のイベントへ出張出店したりと、とにかく攻めまくっているすごい本屋さんなのです。

場所は先述のハラペコキッチンと同じ、椿山ダム横の「平(たいら)」という地区。本のジャンルは教育機関向けの児童書や絵本が多めですが、そのほかにも農業関連の書籍やソーシャル系の雑誌など地域性のあるもの、店長が選んだおすすめの文庫や大人も楽しめる絵本など、個性的な品揃えが魅力。また、ちょっとしたインスタント食品やお菓子・アイスクリーム等も販売しているので、地域の子どもたちも気軽に立ち寄る憩いの場になっています。

日高川町の個人的おすすめイベント

移住先の候補地を実際に見に行って見ようかな、と思ったとき、最も敷居が低いのは「イベントに行ってみる」ということではないでしょうか。でも地方のイベントって、地元の人ばかりでアウェイ感があったり、逆に観光客が多すぎて移住の下見としてはあまり参考にならない…なんてこともありますよね。そこで、ここでは私個人が「移住希望者」という立場でもサラッと来られるおすすめイベントをご紹介します!

 

寒川ワンダフルナイト〔毎年6月上旬開催〕

2011年の水害で激減してしまったホタルの復活を願い、2016年からスタートした寒川ワンダフルナイト。ホタルの代わりに竹キャンドルに火を灯し、田んぼや神社、茅葺き屋根の古民家などを幻想的に照らします。寒川は日高川町でも最も山奥に位置する集落で、普段は夜になれば真っ暗闇。その暗闇がキャンドルの揺れる明かりを一層引き立てます。また、地元の皆さんの努力により、ホタルも少しずつ増えてきました。

寒川神社の境内も竹キャンドルでライトアップ

「昼の部」では子供向けのゲーム大会などが開催され、主に地元の家族連れが多く訪れていますが、「夜の部」ではフォトジェニックなキャンドルナイトを狙った写真家の皆さんをはじめ、遠方からもたくさんの見物客が訪れます。ただ、たくさんと言ってもまだマイナーなイベントなので、「人混みで何も見えない!」なんてことはありませんし、渋滞もまず発生しないので、本当に気軽に訪れることができます。

やまびこ花火大会〔毎年8月中旬開催〕

日高川町美山地区で開催される夏祭り・盆踊り大会のフィナーレを飾るのがこの「やまびこ花火大会」。決して大規模な花火大会ではありませんが、すごいのは打ち上げるロケーション。美山地区は内陸の山間部に位置し、日高川の両岸にも山が迫ってきます。その山間の河原から花火を打ち上げるので、爆音が山々の間を反響して体が震えるほどの衝撃が駆け巡るのです。これが「やまびこ花火大会」と呼ばれる所以なわけですが、もはや「やまびこ」などという生易しいものではありません…。

ほぼ真下から見る、いろんな意味でヤバい花火大会

お盆の真っ最中に開催されるので、都会から里帰りしてきた地元出身者が多いですが、この時期はキャンプ客や釣り客もちらほら。盆踊り会場はかなりローカルな雰囲気ですが、花火のついでに地域の様子を見てみるというのも良いかもしれません。

現地体験ツアー〔毎年数回、不定期開催〕

こちらはずばり移住希望者を対象としたイベント。移住を考えている方々に実際に日高川町へ来ていただき、観光ではなく移住という目線で地域をご案内するツアーです。内容は、地域見学、先輩移住者との交流、住宅内覧などなど、移住につながる様々な情報やご縁が盛りだくさん。個別に窓口へ相談するほど具体化できていないけど、とりあえず色々見てみたい!という方にはぴったりです。

現地体験ツアーでの地域散策の様子

 

他の町で羨ましいと思う地域はありますか?

外国人観光客、特にバックパッカーみたいな旅人がたくさん来る地域は、外からの刺激があっていいなあと思います。近くだと高野山とか、熊野古道周辺とか。団体旅行ではなく個人旅行者が多いという点も素敵です。自分が旅好きというのもあり、地元にいながらにして国際交流ができるというのはとても羨ましいです。

田舎というのは往々にして、情報や新しい価値観の浸透が遅く、保守的になりがちです。そんな中、強制的に外からの風にさらされているというのは、これからの時代に適応していく上ではアドバンテージになると思います。もちろん、それに付随する摩擦や弊害もあると思いますが。

日高川町はというと、観光客がいないわけではないのですが、残念ながら外国人は滅多に来ません。ほとんどが国内旅行で、どちらかというと年齢層も高め。地元民にとっての「未知との遭遇」がとても少ないような気がするのです。もっと外国人増えてほしいなあ…。

移住を検討する人へメッセージ

日高川町は、先にも述べたとおり先輩移住者のとても多い町です。それは後から移住して来る人にとっては安心感のあることだと思います。

ただ、よく移住相談の際「移住者のコミュニティはありますか?」と聞かれるのですが、それは(私の知る限りでは)ありません。もちろん移住者どうしで個人的なつながりはしっかりありますが、基本的にはそれぞれの地域コミュニティに加わって、地域の一員になっています。

日高川町では、敢えて「移住者コミュニティ」を形成する必要はありません。むしろ「移住者」から「地元民」になっていくことが、日高川町で愉快に暮らす秘訣なんじゃないかと思います。日高川町の地元民になりたい方、大歓迎です!

役立つサイトとイベント情報

ここまで読んでいただきありがとうございます!

日高川町に興味を持ってくださったら、ぜひ以下のリンクから次のステップへ進んでみてくださいね。

★とりあえず旅行がてら遊びに行ってみる!→日高川町観光協会のページ

★まずは移住に関する情報収集!→日高川IJUガイド

★移住の参考になるイベント情報を随時ゲットしたい!→「ゆめ倶楽部21」Facebookページ

★日高川町の空き家をチェックしてみる!→わかやま空き家バンク(トップページ→地域から探す→日高川町)

★日高川町の地域おこし協力隊になる!→現在募集中の協力隊

★先輩協力隊のその後が気になる!→そうがわパソコンサポート(協力隊OB近藤さんのサイト)・村越の村おこし(協力隊OB村越さんのサイト)


ここからは地域おこし協力隊に関するテーマです

 

日高川町の協力隊制度について教えてください

ミッション型?フリーミッション型?

ミッション型です。私の場合は「移住推進と都市農村交流」がテーマで、役場の「定住促進室」という部署で活動しています。移住相談の対応や田舎体験の受け入れ事務といった日々の業務を行いつつ、大阪や東京での移住フェアに出展したり、現地体験ツアーの企画を担当したりしています。

現在、私の他には2名の隊員がおり、そちらは2名とも寒川という特定の地区に入る形で活動しています。私のように役場の特定の部署に所属する形ではなく、地区の寄合会や住民等と一緒に活動しており、仕事の雰囲気はだいぶ違います。おそらく今後新たに協力隊を採用する場合も、配属場所によって内容は様々だと思いますので、応募される方は事前に担当者に詳しく聞いてみてください。

給与や活動費・副業について。

給与は月額170,000円で、ここから所得税・健康保険・厚生年金・雇用保険が引かれます。+αで通勤手当と家賃補助(全額)です。活動費は年度の始めに当初予算を組み、その枠内でやりくりします。大きな変更や突発的な新事業など、必要があれば年3回の補正のタイミングで対応。日々の物品の購入は役場から直接振り込みで支払う形が基本です(こまごました出費が増えてくるとけっこう面倒くさい…)。

副業については、「定住につながること」であれば基本OK。まあ副業をすること自体が定住の準備なので、よっぽどアヤシイ商売とかじゃない限り認めてもらえそうな感じです。私の場合、有害鳥獣駆除の報奨金やジビエの販売は副業扱いになっています。

勤怠管理はどんな感じ?

基本的に役場の職員と同じで、勤務時間は月~金の8:30~17:15。タイムカードで管理しています。私の席は役場の庁舎内なので、基本的には役場へ出勤し、課の朝礼にも参加しています。現場へ直行・直帰する場合は事前に上司に連絡しておく感じです。残業代は出ないので、休日勤務や時間外勤務は全て代休で消化します。

日高川町の協力隊制度のココがいい!

周囲の方々がとても協力的です。とりあえず、放置されることはないです。役場の皆さんも何かと気にかけてくれますし、住民との顔つなぎや役場各課との調整など、すすんで協力してくれます。住んでいる地区のご近所さんも、協力隊という存在に対して好意的・肯定的なので、副業のことや任期後のことについてもなんやかんや世話を焼いてくれて、とても有難いです。
また、現在は任期を終えて定住している先輩隊員もいますので、困ったことがあればきっと相談に乗ってくれると思います。

日高川町の協力隊制度のココは注意。

日高川町の協力隊は、多少なりとも役場と連携しながら活動することになりますが、役場全体の雰囲気はというと、かなり慎重であることは否めません。
最近はユニークで思い切った取り組みをガンガン打ち出す地方自治体も多いですが、日高川町は今のところそういう雰囲気ではないです。
協力隊の運用についてもまだまだ手探りで、前例のないことをやろうとすると、思わぬところで壁にぶつかったり、議論が長引いてもどかしい思いをすることもあるかもしれません。
ただ、担当者・関係者にしっかり自分の思いを伝えれば、ちゃんと向き合ってくれますし、一緒に打開策を探してくれます。
そういった議論が町全体にとっても良い刺激になるという面もありますので、担当者にはどんどん相談するといいと思います。

ライターさんと交流してみよう!

追加情報などもこちらへどうぞ!

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